川越市役所が位置するのは、蔵造りの街並みや時の鐘から目と鼻の先だ。景観保全の観点から、無機質な高層ビルへと建て替える選択肢は最初から排除されていた。求められたのは、歴史的意匠を尊重しながら最新のデジタルインフラを組み込むという、高度な設計思想である。
庁舎内部には木目調のデザインがふんだんに取り入れられ、温かみのある空間が広がる。一方で、天井に埋め込まれたAIカメラやセンサー群がフロアの混雑度をリアルタイムで解析。待ち時間の予測データは市公式LINEやWEBサイトへ即座に配信される仕組みだ。歴史の重厚感とデジタル技術の精緻さが、実に見事な調和を見せている。