今や全国区となった恵方巻きだが、そのルーツは間違いなく関西地方にある。江戸時代末期から明治時代にかけて、大阪の商人の街・船場や花街で生まれたとされる説が有力だ。商売繁盛や災難よけを祈願し、新香などを巻き込んだ太巻きを味わったのが始まりと言われている。
食文化史の研究で知られる飯野亮一氏の考察によれば、かつての庶民の暮らしにおいて、こうした行事食は季節の変わり目の栄養補給としても機能していたという。単なる気休めのゲン担ぎではない。暮らしの知恵が結実した伝統食・郷土料理として、大阪の街で大切に育まれてきた経緯がある。