古来、他者への奉仕や愛は倫理学・哲学の主題として扱われてきた。ソクラテスやアリストテレスの時代から、善き生き方とは何かという問いの根底には常に「公」や「他者」との関係性が存在した。
概念としての「アルトルイズム(Altruism)」を明示的に定式化したのは、19世紀フランスの社会学者・哲学者であるオーギュスト・コントだ。彼は個人のエゴイズムに対置する概念としてこの語を創出し、社会の秩序と進歩には他者への奉仕精神が不可欠であると論じた。伝統的な倫理的規範から学術的な考察対象へと変貌を遂げたことで、利他性の議論は客観的な科学の領域へと一歩を踏み出したのだった。