ドラマ『1リットルの涙』が放送された2005年10月期、主演を務めた沢尻エリカは当時19歳でした。同年に公開された映画『パッチギ!』のヒロイン・リ・キョンジャ役で第29回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞するなど、すでに若手実力派として頭角を現していた彼女にとって、本作は連続ドラマ単独初主演作という重責を担う舞台でした。
彼女が演じた池内亜也は、活発で家族思いな高校生から、徐々に運動機能を奪われていく過酷な運命に直面します。この難役において特筆すべきは、病の進行に伴う身体表現のグラデーションです。初期のわずかな歩行の違和感から、言葉が不明瞭になる構音障害、車椅子生活、そして寝たきり状態に至るまで、医学的リアリティを損なうことなく、一人の少女の内面的な葛藤と尊厳を見事に体現しました。
当時の制作関係者やインタビュー記事によると、沢尻は撮影現場に入る前からリハビリテーションセンターを自ら訪れ、患者や医療従事者の動きを徹底的に観察。単なる「お涙頂戴」の模倣に陥らないよう、喉の筋肉の使い方や視線の泳がせ方まで徹底した役作りを行っていたと記録されています。このストイックなアプローチこそが、20代前後の若手女優の枠を大きく超えた「圧倒的な演技力」の根源でした。