天才的なセンスや恵まれた体躯がないなら、泥臭く技術を磨くしかない。彼が選択した行動は、部活動の枠組みを飛び出し、街の社会人チーム「烏野OB」の嶋田誠のもとへ単身で教えを乞いに行くことだった。そこで手にした一筋の光こそ、ボールの軌道が手元で不規則に変化する「ジャンプフローターサーブ」である。
練習終わりの体育館や近所のコートで、気が遠くなるほどの球数を打ち込む毎日。指先にタコを作り、何度もネットに阻まれながらも、彼は一つの技術だけに己のすべてを注ぎ込んだ。己の弱さを直視し、プライドを捨てて年上の経験者に助けを求める素直さ。これこそが、何もない凡人が唯一無二の武器を手に入れるための現実的なブレイクスルーだった。