店頭で見かける鮭の身は鮮やかなピンクやオレンジ色をしているため、「なぜマグロと同じ赤身魚ではないのか」と不思議に感じる保護者は少なくありません。しかし学術的な分類において、鮭が白身魚に分類される明確な生物学的理由が存在します。
魚の赤身と白身の区別は、筋肉中に含まれる色素タンパク質「ミオグロビン」や「ヘモグロビン」の含有量(筋肉100gあたり10mg以上が赤身、未満が白身)で決まります。回遊魚であるマグロやカツオは常に泳ぎ続けるため、筋肉中に大量のミオグロビンを蓄えて身が赤くなります。対して鮭の身が赤いのは、筋肉色素によるものではなく、餌であるオキアミやエビなどの甲殻類に含まれる天然の色素成分「アスタキサンチン」(カロテノイド系色素)が筋肉に沈着しているためです。したがって、生化学的・水産学的な基準では鮭は紛れもなく白身魚に分類されます。
しかし、「白身魚だから最初期から安心」と油断するのは大きな誤りです。鮭を離乳食中期後半から与える理由は、以下の2大リスクをコントロールする必要があるからです。
1つ目は、魚類の中でも脂質含有量が比較的高い点です。真鯛の脂質が100gあたり約5.8gであるのに対し、銀鮭やアトランティックサーモンは10〜15g以上の脂質を含みます。乳児の未未熟な肝臓やすい臓にとって過剰な脂質は下痢や消化不良の原因となるため、白身魚の中でも遅い段階での導入が求められます。
2つ目は、アレルギーの発症リスクです。消費者庁の食物アレルギー表示制度において、さけ(鮭)は発症頻度や重篤度から表示が推奨される「特定原材料に準ずるもの(21品目)」に指定されています。
発症するアレルギー症状は多岐にわたり、食後数分〜2時間以内に現れる皮膚症状(口の周りや全身のじんましん、赤み、かゆみ)、消化器症状(突然の嘔吐、頻回の下痢)、呼吸器症状(ゼーゼーする喘鳴、咳き込み)が代表的です。異変が見られた場合は速やかに小児科を受診し、万が一ぐったりしたり呼吸が苦しそうになったりした場合は即座に救急車を呼ぶ判断が求められます。