男性の体内で女性ホルモンが過剰になるメカニズムの鍵を握っているのが、脂肪細胞に多く存在する「アロマターゼ」という酵素です。この酵素は、男性ホルモンであるテストステロンを取り込み、女性ホルモンであるエストロゲンへと変換(アロマタイズ)する働きを持っています。
ここで大きな引き金となるのが肥満と女性ホルモンの密接な関係です。内臓脂肪や皮下脂肪が増加すると、体内のアロマターゼ量も比例して増大します。その結果、本来男性の身体を支えるはずのテストステロンが次々と女性ホルモンへと変換されてしまい、「テストステロンの低下」と「エストロゲンの増加」という二重のアンバランスが発生する悪循環に陥ります。
肥満以外にも、以下のような複合的要因がホルモンバランスを急激に崩します。
・過度なアルコール摂取と肝機能低下:肝臓は体内にある余剰なエストロゲンを分解・排出する役割を担っています。連日の過度な飲酒や脂肪肝によって肝機能が落ちると、女性ホルモンが分解されずに血中に滞留し続けます。
・慢性的なストレスと睡眠不足:強いストレスは副腎皮質ホルモン(コルチゾール)を過剰分泌させ、テストステロンの生成を強力に阻害します。
・加齢による分泌低下:男性ホルモンは20代をピークに年1〜2%ずつ自然減少します。分泌の母数が減ることで、相対的に女性ホルモンの影響力が強まります。
・医薬品の副作用や環境ホルモン:降圧薬、胃薬、前立腺疾患の治療薬、抗うつ薬の一部には、ホルモン動態に影響を与えて乳腺を発達させる副作用を持つものがあります。