よこはま動物園ズーラシアの開園に携わった際、彼女がこだわったのが「生息環境展示」だった。檻の中に動物を閉じ込めるのではない。動物が暮らす地域の気候や植生を再現し、人間がそのテリトリーに「お邪魔する」というコンセプトだ。
当時、この試みは「動物が見えにくい」という市民からの不満も呼んだ。しかし、彼女は譲らなかった。
「動物が見えない時間があってもいい。それが彼らの自然な営みなのだから」
日記には、このコンセプトを守るために行政担当者と深夜まで激論を交わした記録が残っている。彼女にとって動物園は、人間を喜ばせる場所ではなく、地球上の多様な生命に対する敬意を学ぶ教育の場であった。