サポーターにとって永遠の関心事である宇佐美貴史の現在は、まさにキャリア最高の円熟期を迎えていると評して過言ではありません。若き日の天才ドリブラーという枠組みから完全に脱皮し、ピッチ全体を鳥瞰するプレーメーカー、そしてチームの魂を束ねるキャプテンとして不可欠な輝きを放っています。
かつての密着ドキュメンタリーや単独インタビューにおいて、宇佐美は「自分が点を取ることだけに執着していた頃は、チームが勝てない責任を本当の意味で背負えていなかった」と吐露していました。その言葉通り、現在の彼は守備局面でのファーストディフェンスを怠らず、味方を生かすラストパスの供給者としてゲームを掌握しています。90分フル稼働を強いるのではなく、試合の趨勢を決める後半勝負どころでの決定的なクオリティ発揮を計算に入れた起用法が確立された点も、コンディション安定の大きな要因です。
練習場である吹田グラウンドでの取材時にも、若手選手に身振り手振りでポジショニングをアドバイスする姿が日常的に見受けられます。ベンチに下がった際にもテクニカルエリアから声を枯らして鼓舞し続けるその佇まいは、数字に残るゴール数以上の価値をスカッド全体にもたらしています。