午前の喫茶利用だけでなく、昼のランチタイムに提供される「時雨弁当」もまた、予約が途絶えない逸品である。一升の木箱に美しく盛り付けられた旬の味覚は、まさに四季の絵巻物そのものだ。
出汁の深み、素材の引き算、包丁の入れ方ひとつに至るまで、菊乃井本店の技法が惜しみなく注ぎ込まれている。焼き物、煮物、和え物が調和し、添えられた鯛胡麻ごはんに特製の出汁をかけて味わうひとときは、食べる側の感性を心地よく刺激する。季節が巡るたびにメニューが変わり、何度訪れても新しい発見があることが、リピーターを惹きつけて離さない理由だ。