この盗塁は、単なる度胸やギャンブルではありません。徹底した事前分析と、極限状態でそれを実行できる緻密な走塁技術に裏打ちされた必然のプレーでした。
侍ジャパンのスコアラー陣による事前データと、鳥谷選手自身のベンチからの観察により、台湾のマウンドにいた陳鴻文(チェン・ホンウェン)投手のクイックモーションの秒数、セットポジションに入ってから投球動作に移るまでの間合いの癖が把握されていました。さらに、打者・井端選手に対して変化球を投げる確率が高いカウント(2ボール2ストライク)であったことも、盗塁成功率を高める要因となったのです。
完璧な第1歩目の蹴り出し、無駄のないトップスピードへの移行、そして捕手の送球を避ける絶妙なスライディング。コンマ数秒の狂いも許されない状況下で、鳥谷選手の高い基礎技術が結実した瞬間でした。