2000年代半ば、日本のエンタメシーンはアキバカルチャーの台頭やデジタルメディアの黎明期を迎え、新たなアイドル像を模索していた。その真っ只中で彗星のように現れたのが、当時弱冠14歳だった彼女である。圧倒的な透明感と、どこか浮世離れしたアンニュイな目元。グラビア誌に初登場するやいなや、業界関係者やファンの間で「恐ろしい才能を持つ新人が現れた」と大きな話題を呼んだ。
その存在感を決定づけたのが、伊藤潤二の伝説的ホラー漫画を原作とする映画『富江VS富江』(2007年)への主演抜擢だった。歴代の富江役には菅野美穂や宝生舞といった名だたる女優陣が名を連ねており、新人が背負うにはあまりにも重いプレッシャーだったはずだ。しかし、彼女がスクリーンで見せたのは、可憐でありながらも他者を狂気に引きずり込む魔性の美しさだった。観客はスクリーン越しに、その類稀な表現力に固唾をのんだ。