市場でしばしば同義語のように扱われるのが、ドリズラージャケットである。しかし、この二つには明確な構造的・歴史的違いが存在する。ドリズラーは、アメリカのアパレルメーカー「マクレガー」が小雨(drizzle)のなかでスポーツを楽しむために開発した上着だ。最大の違いは裾と襟のデザインにある。
スイングトップ(特にバラクータG9型)が裾や袖口に密着感のあるリブを採用し、襟元にボタン留めのドッグイヤーカラーを備えているのに対し、ドリズラーは裾がフラットでサイドのアジャスターベルトで絞る構造が多い。また襟も一般的な折り襟で、素材も比較的ライトなものが用いられる。英国発祥の洗練されたトラッド感を持つG9型に対し、アメリカ発祥のドリズラーは武骨で質実剛健なニュアンスが強い。この決定的なディテールの差を知ることこそ、服好きの第一歩だ。