釜揚げうどんは、冷水で締めないため麺の滑らかさと小麦本来の甘みがダイレクトに伝わる反面、一歩間違えれば食感が柔らかくなりすぎるリスクを抱える。だが、この店の麺には温かい状態でもしっかりと芯を感じさせる絶妙な「コシ」が存在する。
その秘密は、日々の気温や湿度に応じて厳密に調整される塩分濃度と加水量にある。熟練の職人が生地の粘りと弾力を手で確かめ、丁寧に足踏みを重ねて鍛え上げた生地は、茹で上がった瞬間に最高の状態を迎える。丼の中でバターと絡み合っても決して負けない力強い弾力こそ、職人の意地と技術の結晶にほかならない。