華やかな作品群の裏側で、一条ゆかりの私生活もまた波瀾万丈でした。読者の関心が高い「結婚と夫」にまつわる経緯について、彼女は自身のエッセイの中で率直に語っています。
一条ゆかりは20代の頃、かつて自身のアシスタントを務めていた男性漫画家と結婚歴があります。しかし、互いに創作者としての個性を持ち、女性側が圧倒的な成功と経済力を手にしていく中で、夫婦の力関係や価値観のズレは埋めがたい溝となっていきました。結果として離婚に至りましたが、泥沼の憎み合いではなく、双方が自立した一人の人間として生きていくための決断であったと述懐されています。
エッセイなどで綴られる彼女の結婚観・家族観は極めて現実的で辛辣です。「男に養ってもらうことを前提にした人生設計の危うさ」や「経済的自立のない結婚がいかに女性の精神を拘束するか」を説き続け、自らの稼ぎで生活基盤を築き上げることの尊さを主張してきました。甘いロマンスを描きながらも、根底には冷徹なまでのリアリズムが存在しており、この人生観こそが、彼女の生み出すヒロインたちに媚びない強さと凛とした気品を与えていたことが分かります。