この現象の歴史的文脈を理解するためには、検索エンジンが単なるツールを超えてエンターテインメントとして消費されていた時代まで遡る必要があります。過去の報道記録を紐解くと、産経ニュースが2016年2月21日に報じた『【トレンド日本】一回転、ゆらゆら、崩壊…遊び心をくすぐる裏技を知ってますか?』という記事などにも見られるように、当時から大手メディアで「暇つぶしに最適な裏技」として特集されていました。
一回転崩壊 元ネタとなった2つの機能には、それぞれ異なる開発背景が存在します。
まず「一回転」は、任天堂の名作ゲーム『スターフォックス』シリーズにおいて、機体をローリングさせて敵の弾を弾く名セリフ「Do a barrel roll(ローリングせよ)」へのトリビュートとして2011年にGoogleのエンジニアによって実装されました。検索窓に「一回転」あるいは「do a barrel roll」と入力すると、HTML5とCSS3の回転アニメーション技術によってページ全体が滑らかに一回転する仕掛けです。YouTubeでもかつて「use the force luke(フォースを使え、ルーク)」と入力すると画面がゆらゆらと波打つ仕掛けが存在したように、開発陣のオタクカルチャーへの深い敬意が形になったものでした。
一方の「崩壊」は、デザイナーのリカルド・カベッロ(通称Mr.doob)氏が2009年にGoogle Chromeの高速なJavaScript実行性能をアピールするために制作した「Google Gravity」が発端です。検索画面にアクセスした瞬間に重力エンジンが作動し、Googleのロゴや検索窓がガシャガシャと画面下部へ激突・落下します。落ちたパーツをマウスや指で掴んで投げ飛ばすことも可能で、世界中のギークたちを驚嘆させました。
この2つのギミックが、後年のまとめサイトやSNSの再編集によって「一回転したあとに崩壊する最恐の裏技」として都市伝説化され、現在に至る一回転崩壊 経緯まとめの骨格が形成されたのです。