人形館を訪れる最大の醍醐味は、歴史に埋もれかけた超絶技巧をその目で確かめられる点にあります。特に鑑賞者の目を奪うのが、日本の「からくり人形展示」と、ヨーロッパの「アンティークドールコレクション」です。
江戸時代に花開いた日本のからくり技術は、現代のロボット工学のルーツとも称されます。ゼンマイと歯車、鯨のひげなどを巧みに組み合わせた「茶運び人形」や「段返り人形」の実演展示では、機械仕掛けでありながらどこか人の温もりを感じさせる滑らかな動きに感嘆の声が上がります。
一方、19世紀後半のフランスやドイツで上流階級のために作られたビスクドール(ジュモーやブリュなど)は、陶磁器製の滑らかな肌の質感、手吹きガラスの瞳、本物の人毛やモヘアを用いた贅沢な髪が特徴です。時を経ても色褪せない優美な造形美は、美術工芸品としての圧倒的な存在感を放っており、ドール愛好家のみならず多くの美術ファンを魅了し続けています。