日本では一般的に「ペペロンチーノ」と略されて親しまれていますが、正式名称はアーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ(Pasta con aglio, olio e peperoncino)です。イタリア語でアーリオ(aglio)はにんにく、オーリオ(olio)は油(オリーブオイル)、エ(e)は接続詞の「〜と」、ペペロンチーノ(peperoncino)は唐辛子を指します。
つまり、唐辛子を入れずににんにくとオイルだけで仕立てたベースを「アーリオ・オーリオ」と呼び、そこに唐辛子の辛味と香味を加えたものが「アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ」です。イタリア南部、特にカンパニア州ナポリを発祥とするこの料理は、かつて具材を買う余裕がない庶民が手軽に手に入る調味料だけで作った「貧民のパスタ(pasta dei poveri)」としてのルーツを持っています。
この違いを最も身近に体感できる好例が、ファミリーレストランチェーン「サイゼリヤ」のグランドメニューです。サイゼリヤで提供されているのは辛味を含まない「アーリオ・オーリオ」であり、プレーンなベースだからこそ、卓上のグランモラビアチーズや唐辛子フレーク、無料のオリーブオイル、あるいは半熟卵をトッピングするといった多彩なアレンジが楽しめます。ベースとなるオイルソースの純度が高いからこそ、わずかな調味料の追加で劇的な味の変化が生まれるのです。