本作が成し遂げた最大の功績は、従来の朝の連続ドラマが描きがちだった「耐え忍ぶ良妻賢母」のステレオタイプを完全に粉砕した点にある。テレビ放送業界において、女性を主人公にした法廷劇は長らく視聴率を獲得しにくいジャンルと目されてきたが、脚本の吉田恵里香は徹底的な取材に基づき、制度の理不尽と個人の尊厳をめぐる重厚なリーガルドラマへと昇華させた。
主演の伊藤沙莉が見せた濁りのない眼差しと、理不尽に対して決して迎合しないたたずまいは、先人たちの血の滲むような努力を決して遠い過去の出来事ではなく、現代の労働やジェンダーの問題と地続きの課題として視聴者に突きつけた。エンターテインメントとしての面白さを損なうことなく、構造的差別の構造を白日の下に晒した制作陣の手腕は、放送批評の世界でも極めて高く評価されている。