事故から星霜を経た現場、海の中道大橋のたもとには、今も花を手向ける人々の姿が絶えません。海の中道大橋事故のその後、理不尽に子どもたちを奪われた大上さん夫妻は、深い絶望と慟哭の淵から立ち上がり、飲酒運転撲滅に向けた啓発活動を全国で展開してきました。
夫妻が手記や追悼集会で語ってきた「私たちのような思いをする親を、もう二度と出してはならない」という魂の叫びは、福岡県警による厳格な取締り強化や、企業・自治体によるアルコール検知器義務化の推進力となりました。毎年8月25日に行われる海の中道大橋事故の被害者と追悼の祈りは、風化に抗い、交通道徳を未来へ繋ぐシンボルとなっています。
現場の橋には現在、転落防止用の頑丈な高規格防護柵が整備され、街頭には注意を促す標識が立ち並びます。しかし、いかにハード面を整備しようとも、ハンドルを握る生身の人間の規範意識が欠落していれば、惨劇は再び繰り返されかねません。遺族の戦いは、今なお全国のドライバーに重い問いを投げかけ続けています。