1977年にTBSテレビで放送された『岸辺のアルバム』は、日本のホームドラマの概念を根底から覆した記念碑的傑作だ。1974年に起きた多摩川決壊水害をモチーフに、一見すると中流家庭の象徴である家族が、水面下で抱える不貞や秘密、欺瞞を冷徹に描き出した。
平凡な主婦が抱える孤独と逸脱、親の期待に押しつぶされる子どもたち。マイホームという虚飾の城が濁流に飲み込まれていくクライマックスは、テレビ史上に残る衝撃的なメタファーとなった。家族だからこそ分かり合えないという過酷な現実を茶の間に突きつけたこの作品は、昭和のテレビドラマの頂点として今なお燦然と輝いている。