カラス彫りにおいて最も真価を発揮する図柄の代表格が「龍」です。和彫りのカラス彫りにおける龍は、鱗一枚一枚の濃淡、立ち込める雲や渦巻く水流とのコントラストによって、まるで生きて蠢いているかのような圧倒的迫力を放ちます。ほかにも、虎の毛並みの質感、不動明王の猛々しい表情、般若の凄みなど、陰影のコントラストが強いモチーフほど墨のぼかしが活きてきます。
構図の選択肢としては、背景に波や雲を敷き詰める「額彫り(がくぼり)」と、主題のみを単体で際立たせる「抜き彫り(ぬきぼり)」が存在します。カラス彫りで額彫りを選択した場合、身体全体が漆黒のグラデーションで統一され、甲冑を纏ったかのような圧倒的な重厚感が生まれます。一方、抜き彫りでは肌本来の色味とのコントラストが強調され、洗練されたシャープな印象に仕上がります。