なぜこれほどの至宝が一堂に会しているのか。その背景には、江戸時代から続く三井家の深遠な美意識と、文化を次世代へと継承しようとした強い信念が存在する。
三井家は単なるコレクターではなかった。彼らにとって美術品とは、客をもてなし、人々と心を通わせるための大切な手段であった。茶会を催し、季節の移ろいを愛で、名品を介して対話を楽しむ。こうした「おもてなし」の精神が、コレクションの選定基準にも色濃く反映されている。
館内に再現された茶室「如庵」(国宝の写し)の展示空間に立つと、当時の豪商たちが楽しんだ風流で優雅な時間の使い方が、鮮やかに浮き彫りになる。