かつて「ニットの貴公子」として手編みの魅力を広く日本中に広めた広瀬光治氏の緻密なレースワークや、日本ヴォーグ社が長年蓄積してきた編み物技法書に見られるように、ニットの美しさは「計算された目数の増減」に宿ります。シュシュのフリル作りも、この伝統的なテキスタイル理論と地続きにあります。
棒針編みでシュシュを編む場合は、ゴムを通す部分を袋編み(ダブル組織)にし、そこから拾い目をして「かけ目」を連続させることで、まるでプリーツスカートのような端正なボリューム感を演出できます。一方のかぎ針編みでは、長編みだけでなく「長々編み」や「中長編みの玉編み」を織り交ぜることで、重厚感のある立体レリーフのような表情が手に入ります。
プロがフリル感をさらに引き上げるために実践しているのは、針の号数を標準指定より「1〜2号上げる」テクニックです。針を太くしてあえて甘撚りのルーズな編み目にすることで、糸本来の弾力性が引き出され、髪を結んだ際につぶれず、しっかりと跳ね返るような弾むボリューム感が保たれます。