シアサッカー(Seersucker)の語源は、ペルシャ語で「ミルクと砂糖」を意味する「shīr-o-shakar(シーロシャカール)」に由来します。滑らかなミルクの質感と、ザラザラとした砂糖の粒感を併せ持つ風合いから名付けられたと伝えられており、ヒンディー語を経由して英語へと定着しました。
生地の表面に現れる独特の波状の縞や凹凸は「シボ」と呼ばれます。シアサッカーの最大の特徴は、薬品加工で後から縮ませるのではなく、張力の異なる2種類の経糸(たていと)を用いて平織りする特殊な製織技術にあります。強いテンションをかけた糸と、緩めた糸を交互に配列して織り上げることで、織機から外した瞬間に緩い部分が縮んで立体的な波打ちを生み出す仕組みです。
では、なぜシアサッカーを着ると酷暑の中でもサラリと涼しく感じられるのでしょうか。大手国内繊維試験機関の接触冷感・通気性テストデータを参照すると、平織りの一般的なコットンブロード生地に比べて、シアサッカーは肌に対する接触面積が実質的に約30〜40%も低下していることが分かります。
肌に「面」ではなく「点」で触れるため、汗をかいても生地が皮膚にペタペタと貼りつく不快感が原理的に発生しません。さらに、凸凹によって衣服と皮膚の間に微細な隙間が常時生まれ、身体の動きに伴って自然な「ポンプ効果」が働き、衣服内の熱気と湿気を外部へ効率的に逃がし続けます。これが、シアサッカーが誇る涼しさの物理的メカニズムです。