「ミスをすれば怒鳴られ、監督の顔色を窺いながらプレーする」。それが、かつての日本の部活動や育成年代における日常風景だった。益子直美自身も、現役時代はその重圧と戦い続けていた一人だ。勝利と引き換えに失われていく子どもたちの主体性と笑顔。現役を退き、客観的にスポーツ現場を見つめ直したとき、彼女の中に拭いがたい疑問が残ったという。
勝利至上主義が生み出す弊害は、単に競技を嫌いになるだけでなく、燃え尽き症候群や心の傷となって大人になっても尾を引く。彼女はこの悪循環を断ち切るべく、2015年からある試みをスタートさせた。それがスポーツ界に波紋を広げることになる「監督が怒ってはいけないバレーボール大会」である。