完結から10年以上が経過した現在、読者コミュニティにおける評価の構図には興味深い変容が見られます。完結当時の2015年頃は「読者を裏切った駄作」「星奈エンドにも夜空エンドにもしなかった愚作」といった激越なバッシングが大勢を占めていました。特定のヒロインに感情移入し、いわゆる「ラブコメの勝利」を期待していた読者にとって、梯子を外されたショックは計り知れないものだったと言えます。
しかし、読書メーターやレビューサイトのアーカイブを検証すると、近年では異なる視点からの再評価が目立ち始めています。
「部活の仲間内で誰かと誰かが付き合えば、グループの均衡は崩壊する。小鷹の選択は現実の高校生として極めてリアルだった」「理科との屋上での殴り合いに近い本音のぶつかり合いこそが、この作品の真骨頂だった」といった意見です。甘い幻想を売るはずのライトノベルにおいて、あえて「モラトリアムの終焉」という苦い真実を突きつけた姿勢は、青春文学の側面から見れば極めて誠実な着地であったと評価する層が確実に存在しています。