山形の駅弁史を語るうえで避けて通れないのが、新きねやが手掛ける「牛肉ど真ん中」だ。山形県産米「ど真ん中」をふっくらと炊き上げ、その上に秘伝の甘辛ダレでじっくり煮込んだ牛肉と牛そぼろを惜しげもなく敷き詰めたこの一品は、全国の駅弁催事でも常にトップを争うモンスター商品である。
甘さと塩気の絶妙なバランス、そして冷めても脂が固まらず口の中で解ける肉質。一口頬張れば、タレの染み込んだ米粒と肉の旨味が一体となり、箸を止めることができなくなる。山形新幹線「つばさ」の車内や山形駅ホームでこれを食すこと自体が、ひとつの旅の目的地として成立しているのだ。