八頭町の澄んだ空気と山あいの風が通り抜ける斜面に、その養鶏場はある。始まりは「本当においしく安全な卵を作りたい」という切実な思いだった。鶏たちが自由に動き回り、日光を浴びて健康に育つ環境を整えること。言葉で言うのは容易いが、産業効率を最優先する近代養鶏の常識に逆行する道だった。
試行錯誤の末に生み出された「天美卵」は、黄身が指でつまめるほど弾力があり、濃厚なコクと澄んだ後味を持つ。この卵の存在が、後に多くの人々をこの山奥へと引き寄せる原動力となった。配合飼料や水にまでこだわり抜いた徹底的な品質管理は、一口食べた瞬間にその違いを痛感させる。