昭和中期、日本最大級の住宅供給プロジェクトとして進められた多摩ニュータウン計画。周辺の山々は次々と削られ、近代的な団地や住宅街へと姿を変えていった。しかし、この長池公園の敷地周辺だけは、地域住民と有識者の熱意ある保全運動によって、奇跡的に開発の手から守り抜かれた歴史を持つ。
その結果、ここには「かつての多摩丘陵の生態系」がタイムカプセルのようにそのまま残された。絶滅が危惧される植物群落や、都市部では姿を消したトンボ類、雑木林を住処とする小動物たちが、今もたくましく生命を繋いでいる。公園内に設けられた自然保全エリアは、単なる観賞用ではなく、地球規模の生物多様性(バイオダイバーシティ)を守る重要なマイクロ・リザーブ(小規模生態系保全地域)としての役割を果たしている。