なんJでネタとして消費されつつも、作品へのリスペクトが絶えなかった背景には、出演者陣の凄まじい演技力があります。半沢役の堺雅人が見せる「倍返し」の気迫と長台詞の滑舌、それを受け止める香川照之や歌舞伎俳優陣(市川猿之助、尾上松也など)の顔面演技の応酬は、まるで現代の歌舞伎舞台を観ているかのような迫力がありました。
一方で、池井戸潤による原作小説(『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』など)と日曜劇場版には大きな違いが存在します。原作の大和田はより冷徹で現実的な銀行員として描かれており、ドラマのような派手な顔芸やコミカルな言動はほとんど見られません。また、第1期のラストで失脚した大和田が第2期でも主要キャラクターとして半沢と共闘・対立を繰り返す展開は、ドラマオリジナルの脚本構成です。
なんJの考察スレでは「原作のシリアスな経済サスペンスを、福澤克雄監督が最高のケレン味あるエンタメに昇華させた」「原作とドラマのどちらにも独自の良さがある」と高く評価されており、演出の妙が視聴者を惹きつける大きな要因であったことが窺えます。