橋本岳という政治家を語る上で、父である故・橋本龍太郎元首相の存在を切り離すことはできない。卓越した政策立案能力と鋭い弁舌で頂点を極めた大宰相の次男として生まれた宿命は、彼に常に巨大な比較の影を落としてきた。自由民主党におけるサラブレッドとしての期待と、偉大な父の残した巨大な足跡をなぞらなければならない重圧は、周囲が想像する以上に過酷なものであったはずだ。
岡山4区という伝統的な保守地盤を継承しながらも、自らの独自色を打ち出そうと社会保障政策のスペシャリストへの道を歩んだ橋本氏。しかし、世襲議員であるがゆえに、私生活の乱れや倫理観の欠如に対する世間の批判は一般の政治家以上に厳しく跳ね返る。「龍太郎の息子」という肩書きは、強力な武器であると同時に、スキャンダル時には逃げ場を塞ぐ足かせへと反転した。