鬼塚慶次の戦闘力を語る上で絶対に外せないのが、人為変態を可能にする「M.O.手術(モザイク・オーガン・オペレーション)」のベース生物である。彼に組み込まれたのは甲殻類最強の捕食者「モンハナシャコ」の遺伝子だ。海洋生物のなかでも異次元の身体構造を持つこのシャコの能力が、世界王者のボクシング技術と融合した瞬間、前代未聞の破壊兵器が誕生した。
モンハナシャコ最大の特徴は、超高速で繰り出される捕食脚の打撃だ。その衝撃速度は22口径の拳銃弾に匹敵し、水中でキャビテーション(衝撃波による発熱・破壊現象)を引き起こす。慶次はこの打撃機構を人間の体格スケールで再現した。常軌を逸したスピードと質量が凝縮されたパンチは、空気中であるにもかかわらず大気を歪ませ、硬質な外骨格を持つテラフォーマーの肉体を一撃で粉砕する。文字通りの「即死級パンチ」である。
さらに見逃せないのが、シャコが持つ驚異的な視覚能力だ。モンハナシャコの複眼は、人間が認識できる3原色を遥かに凌駕する16原色を識別し、紫外線や円偏光までも完全に捉える。網膜剥離によって光を奪われた慶次の瞳は、手術を経て「人間には見えない真実の世界」を克明に捉える究極の眼球へと変貌を遂げた。失った視力を異形の力で補完し、不可視の攻撃すら捉える超感覚を手に入れたのである。