実家の引き戸や欄間、浴室のドア。そこに嵌め込まれた立体的なテクスチャーを持つガラスは、正式には「型板ガラス」と呼ばれる。表面に微細な凹凸を彫り込んだ金属ローラーを通すことで、溶けたガラスに文様を刻印する圧延法で作られたものだ。
なかでもコレクターや建築好きの間で圧倒的な人気を誇るのが、宇宙や夜空を想起させる天体シリーズだ。きらめく星々が無数に散らばったような幾何学パターンを持つ『銀河』。見る角度によって細かな星屑が瞬くように乱反射し、光が差し込むと部屋の中に幻想的な陰影を描き出す。一方の『夜空』は、より静謐な空気感を醸し出し、繊細なドットと細線が夜の静けさを表現している。
植物や自然界をモチーフにしたデザインも数多い。大輪の花が咲き乱れる『菊』、紅葉が風に舞うような『もみじ』、水面のさざ波を思わせる『水面』。さらには『サーフィン』や『つづれ』といった、当時の世相や伝統織物の名前を冠した抽象柄まで実に多彩だ。手元のガラスと照合する際は、規則正しい幾何学模様か、それとも有機的な植物モチーフかを見極めることが特定への第一歩となる。