【2026年独占ルポ】都市の熱狂と静寂をつくる男・斉藤 太一――コンクリートジャングルを「生きた森」に変える緑化革命の最前線

【2026年独占ルポ】都市の熱狂と静寂をつくる男・斉藤 太一――コンクリートジャングルを「生きた森」に変える緑化革命の最前線

斉藤 太一の名を、いま都市開発の現場で聞かない日はない。都心のビル群を見上げれば、見慣れた灰色の壁面が、まるで太古の森を連想させる高密度の植物群で覆われ始めている。2026年、異常気象による都市部の猛暑対策が切迫した課題となるなか、建築の概念そのものを植物の視点から解体・再構築する造園家・グリーンディレクターの彼に、国内外の開発事業者から凄まじい熱視線が注がれている。

世界的な環境規制の波が日本にも押し寄せるなか、単なる景観の「飾り」にとどまらない独自の気候適応型アプローチを掲げる斉藤 太一の実践は、すでに従来の造園という枠組みを大きく超えた。商業施設やオフィスビルから過疎地域の再生プロジェクトまで、彼が手掛ける空間には人が集まり、独自の小生態系が息づき始めている。コンクリートの街にいかにして「本物の森」を呼び戻すのか。その最前線に迫った。

コンクリートの隙間に命を吹き込む:植物業界の常識を打ち破った原点

幼少期から植物の生命力に魅せられていた斉藤は、若くして造園の世界へ足を踏み入れた。しかし彼が目にしたのは、整然と刈り込まれた街路樹や、ビルの屋上に申し訳程度に配置された鉢植えという、都市と植物のいびつな分断だった。「植物は人間の都合で飾るものではなく、建築と対等に呼吸する相棒であるべきだ」――この直感が、彼の活動の原点にある。

空間デザイン集団「SOLSO」を立ち上げて以来、斉藤は従来の園芸・造園業界にあった見えない壁を次々と壊してきた。海外の希少な多肉植物から日本の里山に自生する雑木まで、多種多様な植生を独自の感性でミックスする手法は、当初「維持が難しすぎる」と懸念された。しかし、植物ごとの 微気候(マイクロクライメイト)を計算し尽くした彼の設計は、都市の真ん中で見事に根を張り、月日とともに深みを増す「生きている建築」を証明してみせたのだ。

2026年の都市空間を覆う「SOLSO」の最新エコシステム

2026年の現在、東京・渋谷や虎ノ門をはじめとする再開発エリアを歩けば、彼の足跡をあちこちで発見できる。今年竣工した大型複合施設では、低層部から屋上へとなだらかに続く巨大な立体緑化が実現した。歩行者はエスカレーターを上るたびに、湿地帯から尾根筋の植生へと景観が変化していく体験を味わえる。

「綺麗に揃ったグリーンなんて面白くないでしょう」と、現場で泥にまみれながら作業を指揮する斉藤は不敵に笑う。彼が選ぶ樹木には、曲がりくねった幹や傷のある葉もあえて残される。不均一で多様性に満ちた自然そのままの姿を都市に持ち込むこと。それこそが、無機質な都市空間に身を置く人々のストレスを和らげる「バイオフィリア効果」の鍵なのだと彼は主張する。

林 結菜
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林 結菜

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。