視点を供給側、つまり店舗経営者やサービス提供側のビジネス現場に移すと、閑散期は企業の生死を分ける過酷な試練の時期となります。特に商業界で古くから恐れられてきた言葉に「ニッパチ(2月・8月)」があります。
2月は日数が少ないことに加え、年末年始の散財疲れや寒さによる外出控えが直撃します。8月はお盆休みこそあるものの、猛暑による日中の客足減少や長期帰省によって都心部の飲食店から人が消えます。こうした局面に直面した際、多くの店舗がやってしまいがちな失敗が「見境のない大幅な値下げクーポン」の乱発です。価格を安易に下げてしまうと、客数は一時的に戻っても利益が残らず、ブランドイメージを毀損したまま繁忙期を迎えることになります。
現場で成果を上げている実力派店舗では、極めて緻密な飲食店の閑散期対策および閑散期の集客対策が展開されています。成功している現場の共通パターンは以下の3点に集約されます。
- 常連顧客(ロイヤルカスタマー)に特化した特別プランの提供:新規客の獲得コストが高騰する閑散期だからこそ、既存顧客に向けて「裏メニューのペアリング試飲会」や「平日限定のシェフ特別コース」をDMや公式LINEで限定案内し、客単価を高める。
- 外部プラットフォームに依存しない自前イベントの開催:地域企業とタイアップした貸切セミナー、ワークショップ、婚活パーティーなど、飲食以外の付加価値を組み込んだ確定需要を先付けでスケジュールに組み込む。
- 内部オペレーションの総点検とリスキリング:忙しい時期には手が回らない厨房のディープクリーニング、マニュアルの改訂、接客研修、ITツールの導入など、次の繁忙期に最高速度で利益を刈り取るための投資期間として位置付ける。
ビジネスの現場において閑散期とは、単に暇を嘆く時間ではなく、「次の大波に向けて筋肉質な組織体制を構築するための貴重な助走期間」として機能していることがわかります。