進行性核上性麻痺の余命は何年?進行速度と末期症状のリアルを解説

進行性核上性麻痺の余命は何年?進行速度と末期症状のリアルを解説

進行性核上性麻痺の余命は何年?進行速度と末期症状のリアルを解説についての真相をご紹介します。

インターネット上の断片的な情報では、「進行性核上性麻痺は治療法が全くなく、診断されたらすぐに何も分からなくなる認知症の一種だ」といった誤解が散見されます。しかし、専門医の知見や臨床現場の実態と照らし合わせると、そこには大きな盲点が存在します。

第一の盲点は、パーキンソン病との違いにおける「初期の診断の遅れ」です。発症後1〜2年の段階では、専門の脳神経内科医であってもパーキンソン病や多系統萎縮症、大脳皮質基底核変性症との見分けがつきにくく、約3割以上の患者が最初は別の診断名を受けているという調査結果があります。しかし、MRI検査による「中脳被蓋(ちゅうのうひがい)の萎縮(ハミングバード徴候/ペンギンシルエット徴候)」や、脳血流SPECT検査、さらには近年のタウPET画像診断の進歩により、以前よりも早期の確定診断が可能になっています。

第二の盲点は、「認知症=何も理解できない」という誤解です。進行性核上性麻痺に伴う認知機能低下は、アルツハイマー型認知症のように記憶そのものが抜け落ちるタイプとは異なり、思考のスピードが遅くなる「皮質下性認知症」が主体です。質問してから返答するまでに30秒〜1分ほどの時間がかかるだけで、本人の中ではしっかりと言葉を理解し、考えを巡らせているケースが多々あります。周囲が「もう分からないだろう」と会話を諦めてしまうことこそが、患者の尊厳を最も傷つける要因となります。

胃ろう造設と延命治療の判断における医療現場のリアル

進行期の家族が必ず直面する最大の分岐点が、胃ろう造設と延命治療の判断です。嚥下障害が進み、口から十分な栄養や水分が摂れなくなった際、腹部に小さな穴を開けて直接胃に栄養を送る「胃ろう(PEG)」や、経鼻経管栄養を選択すべきかどうかは、余命の長さと生活の質に直結します。

医療統計上、胃ろうを造設した患者群は、造設しなかった患者群に比べて生存期間が約1年〜2年以上延長するという報告がある一方、注意すべき事実もあります。それは、「胃ろうを作れば誤嚥性肺炎が完全に防げるわけではない」という点です。唾液の誤嚥や、胃から逆流した栄養剤の誤嚥によって肺炎を繰り返すリスクは残ります。しかし、無理に口から食べさせて窒息する危険を回避し、必要な薬や水分を確実に投与できるため、患者の苦痛を和らげる緩和ケアの手段として胃ろうを選択する家族も少なくありません。

石川 優花
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石川 優花

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。