光や電波の仲間である電磁波の中で、人間の目に見える「可視光線」よりも波長が長く、赤色光の外側に位置する領域を「赤外線」と呼びます。工業用セラミックス大手のノリタケ株式会社や工業炉メーカーのエコムなどの技術資料によると、赤外線は波長の長さによって主に「近赤外線」と「遠赤外線」に大別されます。
日本遠赤外線協会の定義および光学的な区分基準では、地球上に広く分布し動植物の生命活動に不可欠な「水の分子振動波長」である3μm(マイクロメートル)から1000μm(1mm)までの波長領域を遠赤外線と規定しています。ウシオ電機などの光学分野では、ガラスの透過限界波長(おおよそ4μm以上)を基点として遠赤外放射(遠赤外光)と位置付けるケースもあり、物理特性として「物質の表面で吸収されやすい」という決定的な特徴を備えています。
ここで押さえておきたいのが、遠赤外線と近赤外線の違いです。近赤外線(波長約0.7μm〜3μm)は直進性と透過性が強く、ガラスを容易に通過し、物質のやや深い部分まで光として浸透します。テレビのリモコン通信、監視カメラ、あるいは塗装の急速乾燥用ヒーターなどに多用されるのはこのためです。一方、遠赤外線はガラスやプラスチック、塗料、そして水分を多く含む有機物に当たると、透過することなく表面でほぼ100%吸収されます。電磁波としてのエネルギーが物質内部の熱エネルギーへと瞬時に変換される効率が圧倒的に高い点が、遠赤外線波長の最大の特徴です。