テレビアニメ『ドラえもん』の音楽史を語る上で欠かせないのが、1979年4月にテレビ朝日系列でスタートした第2作第1期です。その幕開けを飾った大杉久美子の「ドラえもんのうた」は、作曲家・菊池俊輔による軽快かつ覚えやすいメロディと相まって、日本中に「ドラえもんの音」を決定づけました。大杉版は1979年から1992年まで13年以上にわたり親しまれ、その後も山野さと子、吉川ひなの、渡辺美里、AJIへと歌い継がれ、四半世紀にわたって番組の顔として君臨しました。
一方で、エンディング曲(ED)もまた、アニメの枠を超えた名曲の宝庫でした。特に1979年から長く愛された大山のぶ代の「ぼくドラえもん」は、キャラクター自身が自己紹介を兼ねて歌うという画期的な構成で、児童層の心を瞬時に掴みました。「あたまテッカテーカ」という印象的なフレーズは、作詞を手がけた藤子・F・不二雄本人の遊び心と人間味が凝縮された結晶といえます。その後も「青い空はポケットさ」「まる顔のうた」「ハグしちゃお」など、バラエティ豊かなドラえもん歴代ED曲一覧の系譜は、作品の持つユーモアと温もりを毎週の終わりに届ける役割を果たしてきました。
大きな転換点を迎えたのは2005年4月。声優陣の交代とともに始まった水田わさび版(第2作第2期)です。当初は女子十二楽坊によるインストゥルメンタル版「ドラえもんのうた」などが試行錯誤的に使用された後、2007年5月に満を持して投入されたのがmaoの「夢をかなえてドラえもん」でした。作詞・作曲を担当した黒須克彦による瑞々しいメロディは、新世代の視聴者層に熱狂的に受け入れられ、結果として2019年秋まで約12年間にわたってオープニングを支える「平成後期の顔」へと成長を遂げました。