俗説や幽霊文字を排し、中国の古典典籍に明確な典拠を持つ文字として頂点に君臨するのが、64画 てつ 意味と経緯において注目される「𪚥」です。「龍」という複雑な字を上下左右に4つ敷き詰めたこの文字は、6世紀の中国・梁の時代に編纂された字書『玉篇』や、清代の国家事業である『康熙字典』にも収録されています。
その読みは「テツ」、訓読みでは「言葉が多い」とされ、要するに「口数が多くて騒がしい、おしゃべりな様子」を意味します。古代の造字法において、同じ要素を重ねる「理髪文字(重文)」は、その要素が持つ意味を極限まで強調する手法でした。龍が天に昇る激しい動きや、その威厳ある存在が4頭も集まった状態を「多言」の象徴とした古代人の言語感覚には、ある種のユーモアすら漂います。
同じく64画を誇る「𠔻(せい)」は、「興」という文字を4つ並べた構造を持ちます。こちらは「多くの人々が心を一つにして共に奮起する」という意味を持ち、政治的・祭祀的な高揚状態を指す文字として作られました。これらの文字は実生活で頻繁に使われた形跡は乏しいものの、辞書編纂者たちの「森羅万象を文字として体系化する」という執念の産物であり、学術的に認知された世界一画数の多い漢字 詳細まとめを語る上で欠かせない金字塔です。