現場の当事者たちは、この月収水準をどう受け止め、いかにして日々の生活を成り立たせているのでしょうか。SNSやコミュニティ掲示板、当事者の手記から見えてくるのは、制度の恩恵を受けつつも将来への焦燥感に苛まれる生々しい葛藤です。
精神障害を抱え、大手メーカーを退職後にA型作業所へ通う30代男性の手記には、次のような吐露が記されています。
「週5日、1日4時間の軽作業に通い、手取りは約7万2,000円。家賃5万円のアパートに住んでいるため、光熱費を払えば手元には1万円も残らない。日々の食事は割引の食パンともやしで凌いでいる。『雇用契約を結んで働いている』という自負はあるが、周囲の同世代がキャリアを築く中で、自分は何をしているのかと深夜に涙が止まらなくなることがある」
こうした実態があるにもかかわらず、多くの利用者がA型作業所で生活を維持できている背景には、福祉的なセーフティネットの組み合わせが存在します。それがA型作業所と障害年金の併給です。
障害基礎年金2級を受給している場合、2026年時点の給付水準でおよそ月額約6万8,000円〜7万円程度が非課税で支給されます。これにA型作業所の手取り(約7万5,000円)を合算すると、月の実質収入は約14万〜15万円に達します。この水準であれば、地方都市であれば質素な一人暮らしが成立し、実家暮らしであれば十分な余力を確保できます。現場を取材すると、「年金と合算して初めて生活が成り立つ」「単独の給料だけで生計を立てている利用者は、実家で親と同居しているケースが大半である」という現実が浮き彫りになります。