『火口のふたり』に先駆け、映画界に強烈な衝撃を与えたのが廣木隆一監督による『彼女の人生は間違いじゃない』(2017年公開)です。東日本大震災から復興へと向かう福島で暮らす市役所職員・みゆき役を演じた瀧内公美は、週末になると東京へ向かいデリヘルで働くという重層的な葛藤を抱えたヒロインを熱演しました。
劇中で見せた大胆なベッドシーンやヌードシーンは、心の傷と喪失感を埋めようとする人間の切実なもがきを具現化する重要な表現でした。彼女が演じることで、セクシュアルな描写は単なる消費物ではなく、生きることへの抵抗と祈りのメッセージへと昇華されました。
オーディションでこの難役に抜擢された瀧内公美は、役作りのために幾度も被災地へと足を運び、現地で暮らす人々の呼吸を体内に取り込んで撮影に挑みました。その魂のこもった演技は、多くの映画評論家から「日本映画に恐るべき新星が現れた」と高く評価される原点となりました。