求職者が「職務経歴書が売ってない真相」を探し求める一方で、採用コンサルタントや大手企業の人事責任者の間では、まったく逆の常識が定着しています。それは、「職務経歴書はそもそも市販品を買う必要がない」という厳然たる事実です。
厚生労働省が公正な採用選考を呼びかける指針を改定し、履歴書の様式自由化が進んだ背景もあり、現代の採用活動において職務経歴書は「所定の用紙に埋めるもの」ではなく、「自己のプレゼンテーション資料を作成する場」へと完全に位置づけが変わりました。大手転職エージェントの現場ヒアリング調査でも、中途採用における職務経歴書のPC作成率は95%以上に達しており、手書きの市販用紙で提出されるケースは極めて異例となっています。
市販の手書き用職務経歴書が忌避される最大の理由は、その構造的制約にあります。市販の用紙は均一な罫線が引かれているため、前職でのプロジェクト実績や売上達成率、習得したスキルセットを柔軟にレイアウトできません。フォントの強弱や箇条書き、インデントを用いた視線誘導ができないため、多忙な面接官にとって「一目で実績を把握できない読みづらい書類」となってしまうのです。
「職務経歴書の手書きとパソコン作成の評判」について、都内IT企業および製造業の採用担当者3名に取材したところ、口を揃えて次のような指摘が返ってきました。
「履歴書であれば、稀に手書きの文字から人柄を汲み取ろうとする年配の面接官もいますが、職務経歴書は純粋なビジネスドキュメントです。WordやExcel、Googleドキュメントを扱えることは現代の基礎教養。あらかじめ用意された便箋のような市販紙にペンで手書きされた職務経歴書が届くと、採用現場では『この応募者は基本的なPCスキルやタイピング、ビジネス文書の作成に不安があるのではないか』と懸念を抱いてしまいます」