外観の威容だけでなく、「仙台大観音は中に入るとさらに不気味で怖い」という噂も絶えません。しかし、実際に胎内拝観(拝観料:大人500円)へ足を踏み入れると、そこには外観の冷淡さとは異なる濃密な信仰空間が広がっています。
入口となる観音像の足元(龍の口を模した開口部)から足を踏み入れると、1階フロアには威厳ある三十三観音や十二神将の木彫像が整然と並びます。そして中央には大型エレベーターが設置されており、一気に最上階である12階(地上およそ68mの御心位置)まで昇転することが可能です。
最上層の展望窓からは仙台市街地や太平洋、泉ヶ岳を一望できる爽快なパノラマが広がりますが、人々の肝を冷やすのは「下りの構造」にあります。最上階からはエレベーターではなく、中心部の空洞を囲むように設置された螺旋階段を歩いて降りる構造になっているのです。
階段の壁面には、信徒から奉納された108体の仏像(百八体仏)が延々と配置されています。薄暗い照明、ひんやりと冷えたコンクリートの空気感、そして上から下まで見通せてしまう吹き抜けの深淵――。高所恐怖症と閉所感が同時に襲いかかるこの空間設計が、参拝者に「異界へ迷い込んだかのような寒気」を覚えさせる要因です。
地元・泉区の住民や実際に拝観した参拝客のリアルな声を集約すると、次のような評価に分かれます。
「子どもの頃、螺旋階段を下りるときに足がすくんで泣きそうになった。仏像に見つめられながら延々と階段を歩く時間は映画のワンシーンのよう」(地元出身・30代男性)
「外観のインパクトばかり言われるが、内部は極めて厳かな密教寺院そのもの。静寂と線香の香りが心地よく、不気味さよりも神聖さが勝る」(観光拝観者・40代女性)
恐怖体験として語られる背景には、近代的なコンクリート中空構造と、古来の仏教彫刻が同居する空間の特異性があることがわかります。