「半袖を着るべき気温は何度なのか」という疑問に対する基本回答は、気象学および衣服気候学の観点から最高気温25度が一つの明確な節目となります。気象庁の定義において、最高気温が25度以上の日を「夏日」と呼びます。人間が安静時に快適と感じる環境温度(至適温度)は着衣状態で22〜25度前後とされており、気温が25度を上回ると基礎代謝による体内熱を逃がすために、身体が放熱モードへと移行するためです。
大手アパレルメーカーや気象情報各社の着用調査データによると、街中で半袖を着用する人の割合は、気温22度付近では全体の20%程度にとどまるものの、最高気温が24度を超えると約半数(50%)に急増し、25度に達した時点で70%以上の人が半袖を選択していることが実証されています。つまり、社会通念としても体感生理学的にも「25度」が半袖への決定的な切り替えラインであることは間違いありません。
しかし、ここに危険な盲点が存在します。「最高気温が25度だから半袖1枚で出かけて大丈夫」と思い込むのは極めて危険です。最高気温とは、その日1日の中で最も気温が上がった瞬間の数値(通常は午後14時前後)を指しています。朝の通勤・通学時間帯(午前7〜8時)や、帰宅時間帯(午後19時以降)の気温は、最高気温より7〜10度以上も低いケースが珍しくありません。最高気温だけを見てトップスを半袖1枚にしてしまうと、一日の中で深刻な体温調節の破綻を引き起こすことになります。