看板メニューは間違いなく「アブリ(炙り)押し寿司」だ。カナダ・トロントの地で爆発的な支持を獲得し、逆輸入という形で東京へ上陸したこの一皿は、単なる写真映えを狙った創作寿司とは根本から異なる。
サーモン、海老、鯖といった脂の乗ったネタの上に、門外不出の特製ソースをひと塗り。バーナーの強火で一気に炙り上げる。ジュワッと音を立てて滲み出る魚の脂とソースが混ざり合い、キャラメリゼされたような香ばしさが立ちのぼる。
口に入れた瞬間、舌の上でハラリとほどける赤酢のシャリ。濃厚なコクとスモーキーな風味が渾然一体となり、脳へダイレクトに旨味が届く。醤油をつける必要は一切ない。一貫のなかに計算し尽くされた起承転結が宿っている。