「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」において、常に上位へ名を連ねてきた歴史は伊達ではない。しかし、ここで体験するサービスには、いわゆるマニュアル化された接遇特有のぎこちなさがまるでない。
到着時のさりげない声がけ、食事の進み具合を見守る絶妙な目配り、すれ違いざまに交わされる自然な会釈。出しゃばりすぎず、かといって決して冷たくない。「放っておいてほしい時間」と「手を差し伸べてほしい瞬間」を直感的に察知するかのような振る舞いは、もはや匠の技に近い。スタッフ一人ひとりの笑顔の奥には、郷土への深い誇りと、遠路はるばる訪れた旅人への無償の敬意が宿っている。人と人が触れ合う機会が減った現代において、この温もりは砂漠の水のように心へ染み渡る。