館内を丹念に歩いていくと、かつてのギャンブル場が放っていた殺伐とした気配が希薄であることに驚かされる。休憩スペースには壁一面に最新の人気コミックが整然と並び、併設されたカフェスタンドからは焙煎したての豆の香りが漂う。個別ブースに仕切られたコワーキング風のスペースでは、遊技の手を止めてスマートフォンやタブレットを熱心に操作する利用者の姿も目立つ。
店舗が狙いを定めているのは、もはや射幸心だけを煽るビジネスモデルではない。休日に一人で、あるいは友人と気兼ねなく時間を過ごす「滞在型レジャー空間」への脱皮だ。パチンコを打たない時間も含めて快適に過ごせる空間づくりは、かつての業界感覚からすれば矛盾に満ちているように映る。しかし、一人あたりの滞在時間そのものを伸ばさなければ生き残れない成熟市場において、この快適性への過剰な投資こそが最大の参入障壁として機能している。