白球が春の青空に高く舞い上がった。甲子園球場の土を踏みしめる選手たちの表情には、一切の妥協もない。天理の伝統である洗練された機動力と鉄壁の守備。対する福山地区の代表校が見せた、泥臭く食い下がる執念のバッティング。スタンドの応援席からは、地鳴りのような歓声が轟いた。
試合は緊迫した投手戦となった。一球一球に込められた球児たちの想いが、大観衆の息をのませる。8回裏、均衡を破る一打が放たれた瞬間、ベンチから弾けて飛び出す選手たちの姿があった。勝敗を決したのは、わずか数センチの白球の軌道。しかし、試合終了のサイレンが鳴り響いた後、両チームが交わした固い握手には、ライバルを超えた互いへの深い敬意が満ち溢れていた。