「タガタメ」が誕生したきっかけは、2000年代初頭のイラク戦争や激化するテロ、そして国内で起きた凄惨な少年事件だった。当時の空気に満ちていた「見えざる敵への恐怖」と「正義の押し売り」に対する違和感が、曲の骨組みを作っている。
翻って2026年、私たちの目の前にある風景はどうだろうか。地政学的リスクの常態化に加え、AI技術の暴走やディープフェイクによる情報の濁流が、人々の不信感を極限まで煽っている。画面の向こう側にいる顔も見えない誰かを「悪」と断罪し、自らの正義を振りかざすSNSの日常。時代は変われど、私たちが構築してしまった敵意の構造は気味が悪いほど酷似している。曲中で繰り返される断罪への警鐘は、アルゴリズムに支配された現代の正義中毒者たちへの痛烈な皮肉に聞こえてならない。